これまでに学んできた助動詞を一覧表の形にまとめました。助動詞の勉強のおさらいに役立たせてください。
助動詞を学ぶコツは、一つひとつの助動詞についてその3要素、すなわち、意味・活用・接続を覚えることです。
表を見てもわからないときは、各々の助動詞について解説しているページを参照してください。
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口語の助動詞の意味・活用・接続を一覧表のかたちでまとめます。
【表】助動詞活用表
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意味 |
助動詞 |
未然形 |
連用形 |
終止形 |
連体形 |
仮定形 |
命令形 |
活用 |
接続 |
使役 |
せ |
せ |
せる |
せる |
せれ |
せろ せよ |
動詞型 (下一段型) |
五段・サ変動詞の未然形 |
|
させ |
させ |
させる |
させる |
させれ |
させろ させよ |
上記以外の動詞の未然形 |
|||
受け身 可能 自発 尊敬 |
れ |
れ |
れる |
れる |
れれ |
れろ れよ※ |
動詞型 (下一段型) |
五段・サ変動詞の未然形 |
|
られ |
られ |
られる |
られる |
られれ |
られろ られよ※ |
上記以外の動詞の未然形 「せる・させる」の未然形 |
|||
打ち消し (否定) |
なかろ |
なかっ なく |
ない |
ない |
なけれ |
○ |
形容詞型 |
動詞の未然形 動詞型活用の助動詞の未然形 【ぬ(ん)】「ます」の未然形 |
|
○ |
ず |
ぬ(ん) |
ぬ(ん) |
ね |
○ |
特殊型 |
|||
推量 意志 |
○ |
○ |
う |
(う) |
○ |
○ |
無変化型 |
五段・形容詞・形容動詞の未然形 一部の助動詞の未然形 |
|
○ |
○ |
よう |
(よう) |
○ |
○ |
五段以外の動詞の未然形 一部の助動詞の未然形 |
|||
打消推量 打消意志 |
○ |
○ |
まい |
(まい) |
○ |
○ |
無変化型 |
五段・助動詞「ます」の終止形 五段以外・一部助動詞の未然形 |
|
希望 |
たかろ |
たかっ たく |
たい |
たい |
たけれ |
○ |
形容詞型 |
動詞の連用形 助動詞「せる・させる・れる・られる」の連用形 |
|
たがら |
たがり たがっ |
たがる |
たがる |
たがれ |
○ |
動詞型 (五段型) |
|||
過去 完了 存続 |
たろ (だろ) |
○ |
た (だ) |
た (だ) |
たら (だら) |
○ |
特殊型 |
用言の連用形 ほとんどの助動詞の連用形 |
|
様態 |
そうだろ |
そうだっ そうで そうに |
そうだ |
そうな |
そうなら |
○ |
形容動詞型 |
動詞の連用形 形容詞・形容動詞の語幹 助動詞「せる・させる・れる・られる」の連用形など |
|
伝聞 |
○ |
そうで |
そうだ |
○ |
○ |
○ |
用言の終止形 ほとんどの助動詞の終止形 |
||
たとえ 推定 例示 |
ようだろ |
ようだっ ようで ように |
ようだ |
ような |
ようなら |
○ |
形容動詞型 |
用言の連体形 一部の助動詞の連体形 助詞「の」、連体詞「この・あの・その・どの」 |
|
推定 |
○ |
らしかっ らしく |
らしい |
らしい |
らしけれ |
○ |
形容詞型 |
動詞・形容詞の終止形 形容動詞の語幹、体言 一部の助動詞の終止形、一部の助詞 |
|
丁寧 |
ませ ましょ |
まし |
ます |
ます |
ますれ |
ませ まし |
特殊型 |
動詞の連用形 動詞型活用の助動詞の連用形 |
|
断定 |
だろ |
だっ で |
だ |
(な) |
なら |
○ |
形容動詞型 |
体言、一部の助詞 【だろ・で・なら】動詞・形容詞・一部の助動詞の終止形 |
|
丁寧な 断定 |
でしょ |
でし |
です |
(です) |
○ |
○ |
特殊型 |
体言、助詞、形容動詞の語幹など 【でしょ】動詞・形容詞・一部の助動詞の終止形 |
|
意味 |
助動詞 |
未然形 |
連用形 |
終止形 |
連体形 |
仮定形 |
命令形 |
活用 |
接続 |
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※ 可能・自発・尊敬の意味の「れる・られる」には、命令形がない。
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次の各文中の下線部は助動詞である。それぞれの意味を答えなさい。
(1) 自然に育まれた植物を原料にしています。
(2) 向こうに着いたら、連絡してください。
(3) 私の体験を告白しようと思う。
(4) のこぎりのような口を開いて獲物をとらえた。
【考え方】
複数の意味を持つ助動詞について、文中での意味を見分ける問題です。
助動詞の意味を見分けるコツは、①文中に適当なことばを入れてみるか、または、②助動詞を適当なことばに置きかえてみることです。
1.「れる・られる」の意味の見分け方
(1)の「れ」は助動詞「れる」の連用形ですが、「れる」には受け身・可能・自発・尊敬の四つの意味があります。
文中の「れる」が受け身の意味であれば「だれ(なに)に」を入れることができ、自発であれば「自然と」といったことばを入れることができます。また、可能であれば「~することができる」という表現に置きかえることができますし、尊敬であればほかの尊敬語に置きかえることができます。
(1)の文では、「なにに」にあたることばが文中に含まれていますから、受け身の意味であることがわかります。
2.「た(だ)」の意味の見分け方
(2)の「たら」は助動詞「た」の仮定形ですが、「た」には過去・完了・存続の三つの意味があります。
過去はすでに過ぎ去ったことにしか使えませんが、完了は過去・現在・未来いずれでも使うことができます。また、存続の意味であれば、「た」を「ている」「てある」に置きかえることができます。
(2)は過去のことを述べた文ではありませんから、完了の意味であることがわかります。
3.「う・よう」の意味の見分け方
(3)の「よう」は、推量と意志の意味を持つ助動詞です。さらに勧誘の意味もあります。
「よう」を「だろう」「でしょう」に置きかえることができるのであれば、推量の意味です。そうでなければ、意志の意味です。なお、「さあ」などの誘いのことばを入れることができる場合は、勧誘の意味になります。
(3)の「よう」は、「だろう」に置きかえることができないので、意志の意味です。
4.「ようだ」の意味の見分け方
(4)の「ような」は助動詞「ようだ」の連体形ですが、「ようだ」にはたとえ(比況)・推定・例示の三つの意味があります。
文中に「まるで」「あたかも」を入れられるのであればたとえの意味、「どうやら」「どうも」を入れることができれば推定の意味、「たとえば」を入れることができれば例示の意味です。
(4)は、「まるで」を入れることができるので、たとえの意味です。
【答】
(1) 受け身
(2) 完了
(3) 意志
(4) たとえ(比況)
*
次の各組のなかから下線部が助動詞であるものを選んで、記号で答えなさい。
【A】ア 取れる イ はずれる ウ はがされる
【B】ア 使わない イ もったいない ウ 多くない
【C】ア 大きな体 イ ゆたかな体毛 ウ クマなのだ
【考え方】
品詞のまぎらわしい語の品詞を見分ける問題です。
同じ形であっても、品詞はさまざまな場合がありますから、しっかりと見分けられるようになりましょう。
1.「れる」の品詞の見分け方
Aのグループのことばは、みな「れる」を含んでいます。
これらのうち、助動詞の「れる」は、「ない」に置きかえることができます。ウの「れる」は「はがさない」と置きかえることができますので、ウの「れる」は助動詞です。
アとイの「れる」は、「ない」に置きかえることができません。これらは「れる」を含めて一語の動詞です。
2.「ない」の品詞の見分け方
Bのグループのことばは「ない」を含んでいますが、「ない」には助動詞と形容詞とがあります。
助動詞の「ない」であれば、「ぬ」に置きかえることができます。アの「ない」は、「使わぬ」と置きかえることができるので、助動詞です。
これに対して、形容詞の「ない」は、その直前に「は」「も」を入れることができます。ウの「ない」は、「多くはない」とすることができるので、形容詞です。
イの「もったいない」は、「ぬ」に置きかえることも、「は」「も」を入れることもできません。これは、「もったいない」で一語の形容詞です。
3.「な」の品詞の見分け方
Cのグループの「な」は、それぞれ品詞が違います。
「な」には、①形容動詞の連体形の活用語尾や、②助動詞「だ」の連体形、③連体詞の語尾などがあります。
「な」が形容動詞の活用語尾であれば、「とても」を付け加えたり、体言につらなることができます。イは、「とてもゆたかな体毛」とすることができるので、形容動詞です。
助動詞「だ」の連体形の「な」は、「の」「ので」「のに」だけにつらなり、体言につらなることができません。ウは、たとえば「クマな動物」という言い方だとおかしいので、ウの「な」は助動詞ということがわかります。
アの「大きな」は体言につらなっていますが、「大きだだ」と言いかえることができません。このような語は、連体詞です。連体詞は数が少ないので、覚えてしまうのもよいでしょう。
【答】
(1) ウ
(2) ア
(3) ウ