■ 副助詞の種類
副助詞の主なものとして、次のような語がある。
は も こそ さえ でも だって しか まで だけ ばかり くらい(ぐらい) ほど など なり やら か ずつ
それぞれの語の用法については、解説中の表を参照。
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副助詞とはなにか、どのような働きをするかについて、「副助詞の働き」のページで解説しました。
副助詞とされる単語には、主に次のようなものがあります。
は も こそ さえ でも だって しか まで だけ ばかり くらい(ぐらい) ほど など なり やら か ずつ
これら一つひとつの副助詞の用法を簡単にまとめると、次の表のようになります。
なお、それぞれの語の用法については、主なものをあげていますが、すべてではありません。ここには取り上げていない用法もあります。
【表】副助詞の種類
は |
他と区別 (題目) |
ここに は 、何もない。 彼 は 、国語が得意だ。 |
強調 | 一人でもこわく は ない。 |
「は」は、格助詞ではなく、副助詞である。
も | 同類 | 私 も ほしい。 |
強調 | 雨が三日 も 降り続いた。 | |
並立 | あれ も これ も ほしい。 |
こそ | 強調 | 今度 こそ うまくやろう。 |
さえ | 類推 | 子どもに さえ わかることだ。 |
限定 | 生きて さえ いればよい。 | |
添加 | 強風のうえに雷 さえ 鳴った。 |
でも | 類推 | 大人 でも できない。 |
例示 | お茶 でも 飲みましょう。 |
だって | 類推 | 私 だって できる。 |
しか | 限定 | あきらめる しか ない。※ |
※ 打ち消しの語をともなう。
「は・も・こそ・さえ・でも・しか」などの助詞を、副助詞ではなく、係助詞という種類に分類する考え方もあります。
まで | 限度 |
駅 まで 歩く。 5時 まで 待とう。 念のために聞いた まで だ。 |
添加 | 明日の分 まで 食べてしまった。 |
だけ | 限定 | 二人 だけ になった。 |
程度 | やれる だけ やってみよう。 |
ばかり | 限定 | 泣いて ばかり いる。 |
程度 | 1時間 ばかり 待った。 | |
完了 | いま到着した ばかり だ。 | |
そうなる寸前 | 木は、今にも倒れん ばかり だ。 |
くらい (ぐらい) |
程度 | 100人 くらい 集まる。 |
限定 | 注射の痛み くらい 我慢しなさい。 |
ほど | 程度 |
10日 ほど 前に会った。 おもしろい ほど よくわかる。 |
比較 | 昨日 ほど 暑くはない。 |
など |
例示 | 授業や部活動 など で忙しい。 |
軽視 | うそ など ついていない。※ |
※ 打ち消しの語をともなう。
なり |
例示 | 私に なり 相談してください。 |
並立 | 電話 なり メール なり で知らせる。 |
やら |
不確実 | なに やら 話をしている。 |
並立 | 掃除 やら 洗濯 やら で目が回る。 |
か |
不確実 | 誰 か 来たようだ。 |
並立 | 本当 か うそ か わからない。 |
ずつ | 割り当て | プリントを一枚 ずつ 配る。 |
副助詞には、上にあげたほかにも、「だって(類推)・とか(例示)・きり(限定)・だの(並立)」などがあります。
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次の各文中の下線部(副助詞)の働きを後のア~エの中から選んで、記号で答えなさい。
(1) 今日は、晴れるだろう。
(2) 今日も晴れるだろう。
(3) 今日こそ晴れるだろう。
(4) 今日しか晴れないだろう。
ア 強調を表す
イ 程度を表す
ウ 他と区別する
エ 同類を表す
【考え方】
一つひとつの副助詞について意味・用法を確かめましょう。
(1) 「は」は、それが付いた語を他と区別することを表します。
「今日は」とすることで、「今日」とそれ以外の日を区別しています。
「は」は、副助詞であって格助詞ではないことに注意してください。
(2) 「も」は、同じようなものが他にもあるうえで、そのうちの一つをとりあげることを表します。
「今日も」とすることで、「今日」は晴れの日の一つであることを表しています。
(3) 「こそ」は、とくにその語を強調する気持ちを表します。
「今日こそ」とすることで、「今日」という日を強調していることを表しています。
(4) 「しか」は、打ち消しの表現をともなって、それだけにかぎること(限定)を表します。
「今日だけ」とすることで、「今日」だけにかぎることを表しています。
【答】
(1) ウ
(2) エ
(3) ア
(4) イ
*
次の各文中の下線部(副助詞「ばかり」)の働きを後のア~エの中から選んで、記号で答えなさい。
(1) 試合は、始まったばかりだ。
(2) 遊んでばかりいないで勉強しなさい。
(3) 雨が降り出さんばかりの空模様だ。
(4) 電車が10分ばかり遅れて着いた。
ア 限定を表す
イ 程度を表す
ウ 完了を表す
エ そうなる寸前であることを表す
【考え方】
副助詞「ばかり」の働きを見分ける問題です。
「ばかり」には、限定・程度・完了・そうなる寸前などの意味があります。
文中の「ばかり」を他のことばに置きかえたりして、いずれの意味を表しているかを判断しましょう。
(1) 「ばかり」を「いま~したところ」「~してすぐ」と置きかえても文の意味がとおるので、完了の意味です。
(2) 「ばかり」を「だけ」に置きかえても文の意味が変わらないので、限定の意味です。
(3) 「ばかり」を「(いまにも)~しそう」と置きかえても文の意味がとおるので、そうなる寸前の状態という意味です。
(4) 「ばかり」を「ほど」「くらい」に置きかえても文の意味が変わらないので、程度の意味です。
副助詞「ばかり」には、以上の四っつの意味のほかに、原因(~ために)という意味もあります。「油断したばかりに失敗した。」
【答】
(1) ウ
(2) ア
(3) エ
(4) イ
**
次の各文の下線部と働きが同じものをそれぞれア~ウから一つずつ選び、記号で答えなさい。
(1) 立ち上がることさえできない。
ア 名人でさえ間違うこともある。
イ この薬さえ飲めば治る。
ウ 他人だけでなく、家族にさえ内緒だ。
(2) パンでも買って帰ろう。
ア 先生でも解けない難問だ。
イ 本でも読んで過ごす。
ウ 別の方法でも試してみた。
【考え方】
副助詞「さえ」「でも」の働きを見分ける問題です。
(1) 問題文の「さえ」は、「立ち上がること」という極端な例をあげて、ましてそれ以上のことはできないと推測させる働きをしています。つまり、類推を表します。
ア 「名人」が極端な例としてあげられています。つまり、類推を表します。
イ 「この薬を飲むだけで~」の意味です。限定を表すときは、「~すれば・~したら」のような仮定の表現をともないます。
ウ 「そのうえ家族にまで~」の意味です。つまり、添加を表します。
(2) 問題文の「でも」は、「パン」を一つの例としてとりあげる働きをしています。つまり、例示を表します。
ア 「先生」が極端な例としてあげられています。つまり、類推を表します。
イ 「本」を一つの例としてとりあげています。つまり、例示を表します。
ウ 「でも」を「で」に置きかえても、文の意味がとおります。ウの「でも」は、副助詞ではなく、格助詞「で」+副助詞「も」です。
【答】
(1) ア
(2) イ