■ 格助詞の種類
格助詞には、次の10種類がある。
が の を に へ と から より で や
それぞれの語の用法については、解説中の表を参照。
[スポンサードリンク]
格助詞とはなにか、どのような働きをするかについて、「格助詞の働き」のページで解説しました。
格助詞とされる単語には、次のようなものがあります(10種類)。
が の を に へ と から より で や
これら一つひとつの格助詞の用法を簡単にまとめると、次の表のようになります。
なお、連用修飾語の用法については、主なものをあげていますが、すべてではありません。ここには取り上げていない用法もあります。
【表】格助詞の種類
が | 主語 | 鳥 が 鳴く。 |
水 が 飲みたい。(対象) |
の | 部分の主語 |
妹 の 描いた絵を見る。※ 話 の 好きな人だった。※ |
連体修飾語 | 学校 の 友達と話す。 | |
並立の関係 | 行く の 行かない の と 迷う。 | |
体言の代用 | 本を読む の が好きだ。 |
※ 部分の主語の「の」は、「が」に置きかえることができます。
格助詞「の」には、①部分の主語、②連体修飾語、③並立の関係、④体言代用の四つの働きがある。
を | 連用修飾語 | 水 を 飲む。(対象) |
横断歩道 を 渡る。(場所) | ||
自宅 を 出る。(起点) |
に | 連用修飾語 | 8時 に 出る。(時間) |
公園 に 集まる。(場所) | ||
駅 に 着く。(帰着点) | ||
映画を 見に 行く。(目的) | ||
友達 に 本をあげる。(相手) | ||
信号が 赤 に なる。(結果) | ||
病気 に 苦しむ。(原因・理由) | ||
母 に 似る。(比較基準) | ||
並立の関係 | 鉛筆 に 消しゴム に ノート |
へ | 連用修飾語 | 南へ 向かう。(方向) |
ロッカー へ 入れる。(帰着点) | ||
友達 へ 電話する。(相手) |
と | 連用修飾語 | 友達 と 買い物する。(相手) |
被告人は 無罪 と なった。(結果) | ||
兄 と 似ている。(比較) | ||
「はい。」と 返事した。(引用)※ | ||
並立の関係 | 紙 と 筆記具(と)を 用意する。 |
※ 「引用」は、文や文相当の語句を受けます。
から | 連用修飾語 | ここ から 出発する。(起点) |
ワインは、ブドウ から 作られる。(手段・材料) | ||
不注意 から 事故を起こす。(原因・理由) |
より | 連用修飾語 | ネコ より イヌが 好きです。(比較) |
あきらめる より しかたがない。(限定)※ |
※ 打ち消しの語をともないます。
で | 連用修飾語 | 図書館 で 勉強する。(場所) |
鉛筆 で 書く。(手段・材料) | ||
寒さ で ふるえる。(原因・理由) | ||
全力 で 問題に取りくむ。(状態) |
や | 並立の関係 | ゾウ や ライオン や キリン |
[スポンサードリンク]
次の各文中の下線部(格助詞「の」)の働きをあとのアからエの中から選んで、記号で答えなさい。
(1) 川の流れが速くなる。
(2) 帰宅するのが遅くなった。
(3) 言ったの言わないのともめる。
(4) 英語のできる人がうらやましい。
ア 部分の主語を表す
イ 連体修飾語を表す
ウ 並立の関係を表す
エ 体言の代用を表す
【考え方】
格助詞「の」には、四つの働きがあります。
それぞれの働きを見分けられるようにしましょう。
(1) 「川の」は、「川が」に言いかえることができません。
つまり、「川の」は、部分の主語ではなく、連体修飾語です。
(2) 「帰宅するのが」は、「帰宅することが」などと言いかえることができます。
このように、体言の代用の「の」は、体言(こと・もの)に言いかえることができます。
(3) 「言った」と「言わない」とを同じ資格でならべる働きをしています。
つまり、この場合の「の」は、並立の関係を表しています。
(4) 「英語の」は、「英語が」に言いかえることができます(「英語ができる人」)。
このように、「が」に言いかえることのできる「の」は、部分の主語の働きをします。
【答】
(1) イ
(2) エ
(3) ウ
(4) ア
*
次の各文中の下線部(格助詞「に」)の働きをあとのアからエの中から選んで、記号で答えなさい。
(1) 工事の騒音になやまされる。
(2) 近所のお店へ買いに出かける。
(3) トマトにレタスにナスを買う。
(4) 机の上にカバンを置いたままだ。
ア 場所を表す
イ 目的を表す
ウ 原因・理由を表す
エ 並立の関係を表す
【考え方】
格助詞には、連用修飾語をつくる働きがあります。
もっとも、ひとくちに連用修飾語といっても、その用法はさまざまです。
それぞれの文の意味から、格助詞がどのような働きをしているかを考えましょう。
本問では、格助詞「に」の働きについて考えます。
(1) 「騒音に」は、「なやまされる」ことの原因・理由を表します。
(2) 「買いに」は、「出かける」の目的を表します。「買い物に」でも同じです。
(3) この文の「に」は、「トマト」と「レタス」と「ナス」を同じ資格でならべる働きをしています。つまり、並立の関係を表します。
(4) 「(机の)上に」は、「カバンを置いた」場所を表しています。
【答】
(1) ウ
(2) イ
(3) エ
(4) ア
**
次の各文中の下線部(格助詞「と」)の働きをあとのアからエの中から選んで、記号で答えなさい。
(1) それが事件のきっかけとなった。
(2) 彼は正直だと思う。
(3) 姉は、幼なじみの男性と結婚した。
(4) これとそれをください。
ア 相手を表す
イ 結果を表す
ウ 引用を表す
エ 並立の関係を表す
【考え方】
格助詞「と」の働きを考える問題です。
それぞれの文の意味から、「と」がどのような働きをしているかを考えましょう。
(1) 「となる」「となった」とあるときには、結果を表す「と」です。
(2) 「彼は正直だ」は、文です。文を受ける「と」は引用を表しています。
引用される文は、カギかっこ(「」)でくくられることが多いですが、(2)の文のようにカギかっこが付かないこともあります。
(3) 「男性と」は、「結婚した」相手を表しています。
(4) この文の「と」は、「これ」と「それ」を同じ資格でならべる働きをしています。つまり、並立の関係を表します。
【答】
(1) イ
(2) ウ
(3) ア
(4) エ