■ 接続助詞とは
接続助詞 … 主に活用語(用言・助動詞)に付いて、いろいろな関係で前後の文節をつなぐ。
■ 接続助詞の働き
接続助詞の表す関係には、次のようなものがある。
① 仮定の順接 … 仮定の事柄に対して、順当な事柄があとに続く。
(例) 雨が降れば、外に出ない。
② 確定の順接 … 確定している事柄に対して、順当な事柄があとに続く。
(例) 雨が降ったので、外に出なかった。
③ 仮定の逆接 … 仮定の事柄に対して、順当でない事柄があとに続く。
(例) たとえ雨が降っても、外に出よう。
④ 確定の逆接 … 確定している事柄に対して、順当でない事柄があとに続く。
(例) 雨が降ったけれど、外に出た。
⑤ 並立の関係 … 文節(連文節)が対等にならぶ。
(例) 北海道にも行ったし、青森にも行った。
⑥ 補助の関係 … 補助用言があとに続く。
(例) もう一度やってみる。
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助詞の種類の一つに接続助詞があります。
接続助詞とはなにか、どのような働きをするかについて見ていきましょう。
次の例文を見てください。
【A】のどが渇く ので 、水を飲みたい。
【B】のどが渇く のに 、水を飲めない。
上の二つの例文は、それぞれ赤字の語(助詞)を境にして前後に分けることができます。
「のどが渇く」が前半部分で、「水を飲みたい」あるいは「水が飲めない」が後半部分です。
どちらの例文も、それぞれ助詞「ので」「のに」があることによって、「のどが渇く」だけで文が終わらずに、あとの「水を飲みたい」「水が飲めない」に意味が続いてつながっています。
つまり、「ので」「のに」は、接続の関係を表しています。(接続の関係については、「文節どうしの関係」のページを参照してください。)
ただし、Aの文とBの文とでは、それぞれの文における前半部分と後半部分の関係にちがいがあります。
「のどが渇く」ときに「水を飲みたい」と思うのは当然のことであって、Aの文の「ので」はそのような関係を表しています。
それに対して、Bの文の「水が飲めない」ことは、「のどが渇く」ことからくる期待に反する事実であって、「のに」がそのような関係を表しています。
また、次の例も見てみましょう。
【C】のどが渇く し 、腹も減る。
【D】のどが渇い て いる。
CとDどちらの文も、「し」や「て」といった語(助詞)があることによって、文がそこで終わらずにあとに続いています。
ただし、それぞれの助詞の表す関係はちがっています。
Cの文は、助詞「し」の前後の部分、「のどが渇く」と「腹も減る」とが対等にならんでいます。
これを並立の関係といい、「し」は並立の関係を表しています。
Dの文は、助詞「て」のあとの文節「いる」がその直前の文節「渇いて」に意味をそえています。
これを補助の関係といい、「て」は補助の関係を表しています。
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以上をまとめると、「ので」「のに」「し」「て」といった語(助詞)には、文をそれらの語のあとに続けて(つまり、前後の文節をつないで)いろいろな関係を表す働きがあることがわかります。
このように、いろいろな関係で前後の文節をつなぐ働きをする助詞を接続助詞と呼びます。
接続助詞とされる語にどのようなものがあるかや、主な接続助詞の意味・用法については、「主な接続助詞の用法」のページを参照してください。
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接続助詞は、主に活用のある語(用言・助動詞)に付きます。
晴れれ ば 、外に出る。
重く て 運べない。
元気な ので 、安心した。
晴れ た けれど 、外に出ない。
すでに見たように、接続助詞はさまざまな関係を表す働きをします。
(1) 仮定の順接
仮定の事柄に対して、順当な事柄があとに続く関係です。
「仮定」とは想像上の事柄という意味であり、「順接」とは前の事柄に対して当然予想される(順当な)事柄が続くという意味です。
雨が降れ ば 、外に出ない。
「雨が降」ることは、まだ事実ではなく、想像だけにとどまっています。つまり、「仮定」の事柄です。
その「雨が降」るという仮定に対して、「外に出ない」ことは当然に予想される(つまり、順当な)事柄です。
したがって、例文の「ば」が表す接続の関係は、仮定の順接です。
仮定の順接を表す接続助詞には、「ば」のほかに「と」があります。
(2) 確定の順接
確定している事柄に対して、順当な事柄があとに続く関係です。
「確定」とは、その事柄が事実または確実であるという意味です。
雨が降った ので 、外に出なかった。
「雨が降った」ことは、すでに事実になっています。つまり、「確定」している事柄です。
そして、「雨が降った」という事実に対して、「外に出なかった」ことは当然に予想された(つまり、順当な)事柄です。
したがって、例文の「ので」が表す接続の関係は、確定の順接です。
確定の順接を表す接続助詞には、「ので」のほかに、「て(で)・から・ば・と」があります。
確定の順接は、ある事柄が成立するとつねに決まった結果が現れるという関係を含んでいます。
このような接続の関係をとくに一般条件と呼びます。
・ちりも積もれ ば 、山となる。
・水を冷やす と 、氷になる。
(3) 仮定の逆接
仮定の事柄に対して、逆の(順当でない)事柄があとに続く関係です。
「逆接」とは、前の事柄に対して予想または期待しない(つまり、順当でない)事柄があとに続くという意味です。
たとえ雨が降っ ても 、外に出よう。
「雨が降」ることは、まだ事実ではなく想像にとどまっています。つまり、「仮定」の事柄です。
その「雨が降」るという仮定に対して「外に出る」ということは、「外に出ない」という予想・期待に反する(つまり、順当でない)事柄です。
したがって、例文の「ても」が表す接続の関係は、仮定の逆接です。
仮定の逆接を表す接続助詞には、「ても(でも)」のほかに、「と・ところで」などがあります。
(4) 確定の逆接
確定している事柄に対して、逆の(順当でない)事柄があとに続く関係です。
雨が降った けれど 、外に出た。
「雨が降った」ことは、すでに事実になっています。つまり、「確定」している事柄です。
そして、「雨が降った」という事実に対して「外に出た」ことは、「外に出ない」という予想・期待に反する(つまり、順当でない)事柄です。
したがって、例文の「けれど」が表す接続の関係は、確定の逆接です。
確定の逆接を表す接続助詞には、「けれど(けれども)」のほかに、「ても(でも)・が・のに・ながら」などがあります。
接続助詞の働き(接続の関係)の見分け方
① 想像上の事柄(仮定)か、事実か(確定)を文全体から判断する。
② 接続助詞をはさんだ前後の意味のつながりが順当であるか(順接)、順当でないか(逆接)を判断する。
以上見てきたように、接続助詞には接続の関係をつくる働きがありますが、以上の四つの関係のいずれにも当てはまらないものもあります。
そのような関係を単純な接続といいます。
・早起きをし て 勉強する。(先行)
・突然です が 、質問があります。(前置き)
(5) 並立の関係
接続助詞の前後の文節(連文節)が対等にならぶ関係です。
北海道にも行った し 、青森にも行った。
動画を見 たり 、ゲームをし たり して遊ぶ。
並立の関係をつくる接続助詞には、「ば・が・けれど(けれども)・し・て(で)・たり(だり)」などがあります。
(並立の関係についてくわしくは、「文節どうしの関係」のページを参照してください。)
(6) 補助の関係
接続助詞のあとに補助用言を続けて、補助の関係をつくります。
もう一度 やっ て みる 。
補助の関係をつくる接続助詞は、「て(で)」のみです。
(補助の関係についてくわしくは、「文節どうしの関係」のページを参照してください。)
接続助詞のその他の働きとして、連用修飾語をつくることもあります。
・テレビを 見 ながら 勉強する。(同時)
・部屋で本を 読ん だり する。(例示)
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次の各文中の下線部(接続助詞)の働きとして適当なものを後のアからエの中から選び、記号で答えなさい。
(1) 台風が来たから、イベントは中止になった。
(2) 何度も呼んだが、返事がなかった。
(3) ただちに始めないと、今日中に終わらない。
(4) いくら急いでも、間に合わないだろう。
ア 仮定の順接
イ 仮定の逆接
ウ 確定の順接
エ 確定の逆接
【考え方】
接続助詞を基準にして文を前後に分けたうえで、接続助詞がどのような関係で前後の部分をつないでいるかを考えます。
まず、接続助詞の前の部分が想像上の事柄(仮定)であるか、それとも確定した事柄であるかを文全体の意味から考えます。
次に、前半部分と後半部分の意味のつながりが順当であるか(順接)、順当でないか(逆接)を判断しましょう。
(1) 文全体の意味から、「台風が来た」ことは確定した事柄であると判断できます。
そして、「イベントは中止にな」ることは順当な結果ですから、順接です。
(2) 文全体の意味から、「何度も呼んだ」ことは確定した事柄であると判断できます。
そして、「返事がなかった」ことは順当でない結果ですから、逆接です。
(3) 文全体の意味から、「ただちに始めない」ことは仮定の事柄であると判断できます。
そして、「今日中に終わらない」ことは順当な結果ですから、順接です。(仮定条件が否定の意味であることに注意してください。)
(4) 文全体の意味から、「急」ぐことは仮定の事柄であると判断できます。
そして、「間に合わない」ことは順当でない結果ですから、逆接です。
【答】
(1) ウ
(2) エ
(3) ア
(4) イ