■ 連体詞の性質
連体詞……活用がない自立語で、つねに体言(名詞)を修飾する。
(例) この料理 あらゆる本
■ 連体詞の種類
連体詞は、語尾が「の」「る」「な」「た・だ」などになる。
(解説の表「さまざまな連体詞」を参照。)
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次の例文を見てください。
この 料理 を食べる。
あらゆる 本 を読む。
大きな 犬 が散歩する。
いろんな 作品 がある。
上の例文の「この」「あらゆる」「大きな」「いろんな」という単語は、それぞれ直後の「料理」「本」「犬」「作品」という体言(名詞)を修飾しています。
「この」「あらゆる」「大きな」「いろんな」という単語は、それぞれ単独で文節をつくっています。つまり、自立語です。
また、これらの単語は、文中での用法(文がそこで切れるか続くか、どんな語がそのあとに続くか)によってその形が変化することはありません。つまり、活用がない単語です。
このように、活用がない自立語であって、体言を修飾する(連体修飾語になる)単語を連体詞といいます。
(自立語・付属語については「単語の分類(1)自立語と付属語」のページを、活用については「単語の分類(2)単語の活用」のページを、修飾語については「文節の働き(2)修飾語」のページをそれぞれ参照してください。)
連体詞のなかには、他の品詞の語とまぎらわしいものがあります。
たとえば、「大きな」は、「大きい」という形容詞と似ていますが、形容詞ではなく連体詞です。(「大きい」の活用形に「大きな」という形はありません。)
また、「いろんな」は、「いろいろな」という語と似ています。
しかし、「いろいろな」は形容動詞で活用があるのに対して、「いろんな」は連体詞で活用がありません。
*
連体詞と副詞は、どちらも活用がない自立語であって、単独で修飾語になる単語であることが共通しています。
ただし、副詞と連体詞とでは、それぞれの修飾する語にちがいがあります。
副詞が修飾するのは用言(動詞・形容詞・形容動詞)であるのに対して、連体詞が修飾するのは体言(名詞)です。
そして、副詞は用言以外の語(体言など)を修飾することもあるのに対して、連体詞はつねに体言を修飾します。
なお、副詞と連体詞は、どちらも主語になることはありません。
(副詞については、「副詞(1)性質と働き」のページを参照してください。)
連体詞は、その形に特徴があります。
つまり、連体詞は、その語尾が「の」「る」「な」「た・だ」などになります。
次の表は、それぞれの語尾になる連体詞の例を挙げたものです。
【表】さまざまな連体詞
―の |
この(その・あの・どの)家 例の話 ほんの数分 |
―る |
ある日 あらゆる方法 いわゆる天才 いかなる理由 来る大会 去る5月1日 |
―な |
大きな船 小さな箱 おかしな話 いろんな国 |
―た ―だ |
たいした作品 とんだ災難 |
その他 |
わが国 あらぬうわさ |
「この・その・あの・どの」は、指示語と呼ばれる言葉です。指示語については、「指示語(こそあど言葉)」のページを参照してください。
主な連体詞をその形の特徴と合わせて覚えるようにしましょう。
連体詞は、「―の」「―る」「―な」「―た・―だ」などの形になる。
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次の各文の中から連体詞を一つずつ抜き出して答えなさい。
(1) 人命救助のためにあらゆる手段を尽くす。
(2) にわか雨が降ってとんだ災難だった。
(3) 水槽で小さな魚が泳いでいる。
(4) わが国の伝統文化をたくさん学ぶ。
【考え方】
連体詞は、「―の」「―る」「―な」「―た・―だ」「―が」などの形になります。
それぞれの文中からこのような形の語をさがし出し、それが活用のない自立語かどうか確かめましょう。
(1)から(4)の文中でこのような条件をみたす語は、「あらゆる」「とんだ」「小さな」「わが」です。
【答】
(1) あらゆる
(2) とんだ
(3) 小さな
(4) わが
*
(1) 次の各文のうち、下線部が連体詞であるものを選び、記号で答えなさい。
ア 田中くんからそれをもらった。
イ 日曜日の朝にそこで待ち合わせしよう。
ウ その努力が報われることを祈ります。
(2) 次の各文のうち、下線部が連体詞でないものを選び、記号で答えなさい。
ア もっと大きな目標を立てよう。
イ 私にはいろいろな夢があります。
ウ 決しておかしなことではありません。
(3) 次の各文のうち、下線部が連体詞でないものを選び、記号で答えなさい。
ア 学校が目と鼻の先にある。
イ ある中学校で文化祭が催された。
ウ 去る4月20日に選挙が行われた。
【考え方】
連体詞には、他の品詞の語とまぎらわしいものが多くあります。
単語の形や活用があるかないかなどを手がかりにして、連体詞とそうでないものを見分けるようにしましょう。
(1)の下線部の語のなかで、連体詞の形の特徴を持つのは「その」です。「それ」「そこ」は、名詞(代名詞)です。
(2)の下線部の語は、すべて「―な」の形をしています。
しかし、イの「いろいろな」は、活用があるので(「いろいろだ」などに変化する)、連体詞ではありません(形容動詞です)。
(3)の下線部の語は、すべて「―る」の形をしています。
しかし、アの「ある」は、述語になっているので、連体詞ではありません(連体詞は連体修飾語になる)。
ウの「去る」は、動詞(の連体形)だとすると文の意味がおかしくなるので、ここでは連体詞です。
【答】
(1) ウ
(2) イ
(3) ア