■ カ行変格活用
カ行変格活用(カ変)……「来る」だけの特殊な活用。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
こ | き | くる | くる | くれ | こい |
※ 語幹と活用語尾の区別がない。
■ サ行変格活用
サ行変格活用(サ変)……「する」だけの特殊な活用。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
し せ さ |
し | する | する | すれ |
しろ せよ |
※ 語幹と活用語尾の区別がない。
複合動詞「―する(ずる)」も、サ行変格活用をする。
(語例) 旅する 勉強する 信ずる 重んずる
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カ行変格活用は、「来る」だけの特殊な活用のしかたです。「カ変」と省略してよぶこともあります。➡動詞(2)活用とその種類
動詞の「来(く)る」を活用させると、次のようになります。
こ ナイ (未然形)
き マス (連用形)
くる 。 (終止形)
くる トキ (連体形)
くれ バ (仮定形)
こい 。 (命令形)
この活用のしかたは、五段活用・上一段活用・下一段活用のいずれにも当てはまりません。
「来る」は、このように特殊な活用をする動詞です。
五段・上一段・下一段のいずれにも当てはまらない特殊な活用を「変格活用」といいます。
カ行変格活用を表にしてまとめると、次のようになります。➡動詞(3)活用形とその用法
【表】カ行変格活用
★スマートフォンの方は、横にスクロールさせてください。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
こ | き | くる | くる | くれ | こい |
ナイ ヨウ |
マス タ |
言い切る | トキ | バ |
命令して 言い切る |
カ行変格活用は、上の表の音をくり返し声に出すなどして覚えましょう。
なお、「来る」には語幹と活用語尾の区別がありません。同じ「来」という漢字が、活用形によって違った読み方になることに注意しましょう。
サ行変格活用は、「する」だけの特殊な活用のしかたです。「サ変」と省略してよぶこともあります。
動詞の「する」を活用させると、次のようになります。
し ナイ (未然形)
せ ヌ (未然形)
さ レル (未然形)
し マス (連用形)
する 。 (終止形)
する トキ (連体形)
すれ バ (仮定形)
しろ 。 (命令形)
せよ 。 (命令形)
この活用のしかたは、五段活用・上一段活用・下一段活用のいずれにも当てはまりません。
「する」は、このように特殊な活用をする動詞です。
サ行変格活用を表にしてまとめると、次のようになります。➡動詞(3)活用形とその用法
【表】サ行変格活用
★スマートフォンの方は、横にスクロールさせてください。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
し せ さ |
し | する | する | すれ |
しろ せよ |
ナイ ヌ レル |
マス タ |
言い切る | トキ | バ |
命令して 言い切る |
未然形が三つありますが、それぞれ続く語が違います。「し」はナイ・ヨウ、「せ」はヌ、「さ」はレル・セルが付く形です。
サ行変格活用は、上の表の音をくり返し声に出すなどして覚えましょう。
なお、「する」には語幹と活用語尾の区別がありません。
*
「する」は、さまざまな語と結びついて、次のような複合動詞をつくります。➡複合語・派生語
複合動詞「―する(ずる)」の活用は、「する」と同じサ行変格活用になります。(複合動詞には語幹と活用語尾の区別があります。)
① 旅する うわさする くよくよする (和語との複合)
② 勉強する 前進する 発展する 成功する (漢語との複合)
③ ドライブする バックする アップする (外来語との複合)
④ 愛する 略する 要する 害する (一字の漢語との複合)
⑤ 信ずる 命ずる 生ずる 通ずる (同上)
⑥ 重んずる 軽んずる 疎んずる 甘んずる (形容詞との複合)
⑦ 先んずる そらんずる (その他の複合)
上の語例で、⑤⑥⑦の動詞の活用語尾が「ずる」になっていますが、これは「する」が濁ったものです。したがって、これらもサ行変格活用の動詞です。
上の語例の④にはサ行五段活用の動詞もあり(「愛す」「略す」「要す」「害す」)、また、⑤⑥⑦にはザ行上一段活用の動詞もあります(「信じる」「重んじる」「先んじる」
など)。
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次の各文の( )に、動詞「来る」を適当な平仮名の形に直して入れなさい。
(1) おつかいに行ったきり戻って( )ない。
(2) 業者が冷蔵庫を引き取りに( )た。
(3) ここまで( )ば、もう安心だ。
(4) 来たければ、勝手について( )。
【アドバイス】
「来る」の活用形を答える問題です。
動詞の活用形は、文中での用法、すなわち、動詞に続く語や符号によって決まります。カッコの直後に注目して、うまく当てはまる活用形を考えましょう。
(1) 「ない」は、動詞の未然形に付く助動詞です。
(2) 「た」は、用言の連用形に付く助動詞です。
(3) 「ば」は、活用語の仮定形に付く助詞です。
(4) カッコの直後が句点(。)なので、言い切る形、すなわち、終止形または命令形が入ります。文全体の意味から、どちらの活用形を入れるのが適当かを考えましょう。
(1) こ
(2) き
(3) くれ
(4) こい
*
次の各文の( )に、後の動詞を適当な活用形に直して入れなさい。
(1) 寄り道を( )ないでまっすぐに帰る。[する]
(2) 帰る途中で( )ぬ出来事が生じた。[予期する]
(3) 成績を上げたければ、もっと( )。[勉強する]
(4) ( )ば、先生にしかられる。[遅刻する]
【アドバイス】
サ行変格活用の活用形を答える問題です。
サ行変格活用をする動詞は、「する」とその複合動詞「―する」です。複合動詞の活用語尾は、「する」の活用形と同じです。
(1) 「ない」は、動詞の未然形に付く助動詞です。
(2) 「ぬ」は、動詞の未然形に付く助動詞です。
「する」の未然形には三つの形があります。「ない」と「ぬ」が、それぞれいずれの形の未然形に付くかを考えましょう。
(3) 直後に句点(。)があるので、終止形か命令形のどちらかです。どちらが適当であるかを文全体の意味から考えましょう。
(4) 「ば」は、活用語の仮定形に付く助詞です。
(1) し
(2) 予期せ
(3) 勉強しろ(勉強せよ)
(4) 遅刻すれ