■ 自動詞と他動詞
自動詞……動作・作用がそれ自身の働きにとどまる動詞。
(例) 水が流れる。
他動詞……動作・作用がほかへの働きかけとなる動詞。「~を」の文節を受ける。
(例) 水を流す。
■ 自動詞と他動詞の対応
自動詞と他動詞は、たがいに対応する語がある。
(例) 減る ⇔ 減らす
対応する語がない自動詞や他動詞もある。
(語例) 行く ある 置く 書く
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動詞には、自動詞と他動詞の区別があります。
自動詞とは、動作・作用がそれ(主語)自身の働きにとどまる動詞をいいます。
他動詞とは、動作・作用がほか(主語以外)への働きかけとなる動詞をいいます。
自動詞と他動詞との違いは、動作・作用が主語とは別のものに働きかけるかどうかという点にあります。
水が 流れる。(自動詞)
水を 流す。 (他動詞)
上の例で、「流れる」という動詞は、その主語である「水」自身の働きを表しているのに対して、「流す」という動詞は「水」への働きかけを表しています。
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他動詞は、「~を」の形の文節(修飾語)を受けます。「~を」は、動作・作用が及ぶ対象を表しています。➡文節の働き(2)修飾語
ある動詞が「~を」の形の文節を受けるときは他動詞、そうでないときは自動詞です。
水が 流れる。 水を 流す。
火が 消える。 火を 消す。
目が 覚める。 目を 覚ます。
「~を」を受けるのが他動詞、受けないのが自動詞。
一般に、「~を」の形の文節を受けるのは他動詞です。
しかし、自動詞であっても、「~を」の形の文節を受ける場合があります。
・空を 飛ぶ。 その場を 去る。
この場合の「~を」は、移動する場所を表しています。➡主な格助詞の用法
自動詞と他動詞の多くは、たがいに対応する語があります。
次の表で、自動詞の「減る」と他動詞の「減らす」がたがいに対応する関係にあります。「建つ」と「建てる」、「集まる」と「集める」についても同じです。
【表】自他対応
自動詞 | 他動詞 |
量が 減る (ラ行五段活用) 家が 建つ (タ行五段活用) 魚が 集まる (ラ行五段活用) |
量を 減らす (サ行五段活用) 家を 建てる (タ行下一段活用) 魚を 集める (マ行下一段活用) |
上の表を見てわかるように、たがいに対応する自動詞と他動詞は形が似ていますが、それぞれ活用の種類または行が違っています。➡動詞(2)活用とその種類
もっとも、次の例のように、自動詞と他動詞がどちらも同じ形(活用)になることもあります。
人が 笑う。 人を 笑う。 (ともにワ行五段活用)
扉が 開く。 扉を 開く。 (ともにカ行五段活用)
目が 閉じる。 目を 閉じる。(ともにザ行上一段活用)
自動詞と他動詞が同じ形になる動詞には、上の例のほかに、「(風が/笛を)吹く」「(話が/話を)運ぶ」「(危険が/危険を)伴う」「(水が/水を)増す」「(実が/実を)結ぶ」「(眠気が/眠気を)催す」などがあります。
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次の例のように、対応する語がない自動詞や他動詞もあります。
【対応する他動詞がない自動詞】
行く ある 来る 降る そびえる ありふれる
【対応する自動詞がない他動詞】
置く 書く 読む 投げる 打つ 殺す
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次の各文の下線部の動詞に対応する自動詞または他動詞を答えなさい。
(1) 火を消す。― 火が( )。
(2) 紙が破れる。― 紙を( )。
(3) 水が増す。― 水を( )。
(4) 問題を起こす。― 問題が( )。
【アドバイス】
「~を」の文節を受けているのが他動詞で、「~が」の文節を受けているのが自動詞です。
自動詞と他動詞はたがいに形が似ているので、下線部の他動詞または自動詞と似たような形の語を考えましょう。
その際、自動詞と他動詞が同形になる場合があること(自他同形)に注意しましょう。
なお、「起こす」は他動詞ですが、これに対応する自動詞には、「起こる」と「起きる」の二つがあります。
(1) 消える
(2) 破る
(3) 増す
(4) 起こる(起きる)