■ 格助詞とは
格助詞 … 主に体言(名詞)に付いて、文節どうしの関係を表す。
■ 格助詞の働き
格助詞は、次のような働きをする。
① 主語をつくる〔が・の〕
(例) 花が 咲く。
② 連体修飾語をつくる〔の〕
(例) 国語の 宿題をする。
③ 連用修飾語をつくる〔を・に・へ・と・から・より・で〕
(例) ガスコンロで お湯を わかす。
④ 並立の関係を表す〔の・に・と・や〕
(例) 今日と 明日は お休みだ。
⑤ 体言の代用になる〔の〕
(例) くつを新しいのに買いかえる。
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助詞の種類の一つに格助詞とよばれるものがあります。
格助詞とはなにか、どのような働きをするかを見ていきましょう。
次の文の □ に当てはまる1字を考えてみましょう。
鳥 □ えさ □ 食べる。
それぞれの □ にどのような文字を入れるかによって、文の意味はまったく違ったものになります。
いくつかの例をあげてみましょう。
【A】鳥 が えさ を 食べる。
この文では、「食べる」という動作の主体が「鳥」であり、「食べる」ものが「えさ」であることを意味しています。
【B】鳥 を えさ が 食べる。
この文は、Aの文の「が」と「を」を入れかえたものです。
このように、「が」と「を」を入れかえると、「食べる」という動作の主体が「えさ」であり、「食べる」ものが「鳥」であるという意味の文になってしまっています。
このような違いが生じる理由は、「が」と「を」のそれぞれの働きにあります。
「が」という語は、それをふくむ文節が主語であることを表します。
Aの文では「食べる」という述語の主語は「鳥が」ですが、Bの文では「えさが」が主語になっています。
(主語・述語については、「文節の働き(1)主語・述語」のページを参照してください。)
また、「を」という語は、それをふくむ文節が連用修飾語であることを表しています。
Aの文では「食べる」を修飾する文節は「えさを」ですが、Bの文では「鳥を」が「食べる」を修飾しています。
(連用修飾語については、「文節の働き(2)修飾語」のページを参照してください。)
【C】鳥 の えさ を 食べる。
この文では、「鳥の」という文節が、「食べる」ではなく、体言の文節である「えさを」にかかっています。
これは、「の」という語が、それをふくむ文節が連体修飾語であることを表しているからです。
(連体修飾語については、「文節の働き(2)修飾語」のページを参照してください。)
【D】鳥 と えさ を 食べる。
この文では、「鳥と」と「えさを」という文節が並立の関係になっています。
つまり、「と」は、並立の関係を表す語です。
(並立の関係については、「文節どうしの関係」のページを参照してください。)
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以上をまとめると、「が」「を」「の」「と」といった語(助詞)には、ある文節が他の文節に対してどのような関係にあるかを表す働きがあると言えます。
このように、文節どうしの関係を表す働きをする助詞を格助詞と呼びます。
格助詞とされる語には、「が・の・を・に・へ・と・から・より・で・や」があります。
これらの語の意味・用法については、「主な格助詞の用法」のページを参照してください。
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格助詞は主に体言(名詞)に付きますが、体言以外の語に付くこともあります。
洋服 を 買い に 行く。
安い の が ほしい。
「これをください。」と 、言う。
すでに見たように、格助詞はいろいろな種類の文節をつくる働きをします。
(1) 主語をつくる
「が・の」をふくむ文節は、主語になることができます。
(主語・述語については、「文節の働き(1)主語・述語」のページを参照してください。)
アジサイの 花 が 咲く。
港 の 見える 丘がある。
「の」は、部分の主語(複文の成分中の主語)を表す場合に用いられ、「が」に置きかえることができます。
「港 の 見える丘」→「港 が 見える丘」
(複文についてくわしくは、「文の種類」のページを参照してください。)
(2) 連体修飾語をつくる
「の」をふくむ文節は、連体修飾語になることができます。
連体修飾語をつくる働きをするのは、「の」だけです。
(連体修飾語については、「文節の働き(2)修飾語」のページを参照してください。)
国語 の 宿題を する。
(3) 連用修飾語をつくる
「を・に・へ・と・から・より・で」をふくむ文節は、連用修飾語になることができます。
連用修飾語の表す意味は、対象・場所・時間・原因・目的・相手など、さまざまです。くわしくは、「主な格助詞」のページで解説します。
(連用修飾語については、「文節の働き(2)修飾語」のページを参照してください。)
ガスコンロ で お湯 を わかす。
(4) 並立の関係を表す
「の・に・と・や」をふくむ文節は、並立語になることができます。
(並立の関係については、「文節どうしの関係」のページを参照してください。)
今日 と 明日は お休みだ。
生きる の 死ぬ の と 大騒ぎする。
(5) 体言の代用になる
「の」は、体言の代わりに用いられることがあります。
くつを新しい の に買いかえる。
会社で働く の が楽しい。
このお金は僕 の だ。
それぞれの例文の赤字の「の」は、次のように体言(名詞)に置きかえることができます。
「新しいのに」→「新しいものに」
「働くのが」→「働くことが」
「僕のだ」→「僕のものだ」
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次の各文中の下線部の語は格助詞である。それぞれの格助詞の働きをあとのアからエの中から選んで、記号で答えなさい。
(1) 子どもたちが工場を見学した。
(2) ナスとピーマンを炒める。
(3) ワインは、ブドウから作られる。
(4) 制服のボタンが取れてしまった。
ア 主語を表す
イ 連体修飾語を表す
ウ 連用修飾語を表す
エ 並立の関係を表す
【考え方】
格助詞をふくむ文節が他の文節とどのような関係にあるかを考えましょう。
(1) 「子どもたちが」という主語の文節は、「見学した」という述語の文節にかかり、その動作の主体を表しています。
「が」は、主語の文節をつくる助詞であると覚えましょう。
(2) 「ナスと」という文節は、「ピーマンを」という文節と対等の関係で結びついて、「炒める」を修飾しています。
このように、格助詞の「と」には、並立の関係をあらわす働きがあります。
(3) 「ブドウから」という文節は、「作られる」という用言の文節を修飾しています。
このように、格助詞のなかには、連用修飾語をつくっていろいろな意味を表すものがあります(問題文では「材料・手段」を表しています)。
(4) 「制服の」という文節は、「ボタンの」という体言の文節を修飾しています。
「の」は、このように連体修飾語をつくることができますが、連用修飾語をつくることはできません。
【答】
(1) ア
(2) エ
(3) ウ
(4) イ