■ 丁寧語とは
丁寧語とは、話し手(書き手)が言い方を丁寧にすることによって話の聞き手(読み手)に敬意を表す言葉をいう。
(例) 私の作品です。
(例) 買い物に行きます。
■ 丁寧語の形
丁寧語には、次のような形で表す。
① 丁寧の助動詞「です・ます」を付ける形……文末などに付ける。
(例) 明日は、月曜日です。
(例) 学校に行きます。
② 「ございます」を使う形……「ある」の丁寧な言い方。
(例) 書類は、机の上にございます。
(例) お花が飾ってございます。(補助動詞)
③ 接頭語「お・ご」を付ける形……ものごとの上品な言い方。
(例) お昼 お勉強(する) お暑い ご飯
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このページでは、敬語の種類の一つである丁寧語を見ていきます。
(敬語の種類については、「敬語とその種類」のページを参照してください。)
人への敬意の表し方は、相手側を高めたり(尊敬語)自分側をへりくだったり(謙譲語)するしかただけとはかぎりません。
次の例を見てください。
これが私の 作品 です 。
いまから買い物に 行き ます 。
上の例の「作品です」や「行きます」は、それぞれ「作品だ」「行く」という言い方よりも丁寧な言い方になっています。
そして、丁寧な言い方にすることによって、話の聞き手(読み手)に対する敬意が表されています。
このように、話し手(書き手)が言い方を丁寧にすることによって話の聞き手(読み手)への敬意を表す言葉を丁寧語といいます。
尊敬語や謙譲語を使う場合には、丁寧語もあわせて使われる場合がほとんどです。
丁寧語のなかには、言葉を上品にする(美化する)ために接頭語「お」「ご」をそえる言い方もあります。
・お店 で ご飯 を食べました。
この例の「お店」「ご飯」は、単に「店」「飯」と言うよりも言葉を上品にするための言い方で、とくに誰かに敬意を表すものではありません。
このような言葉を美化語と呼んで、丁寧語と区別することがあります。
丁寧語には、次のような表現の形があります。一つずつ見ていきましょう。
(1) 丁寧の助動詞「です」「ます」を付ける形
文末などに助動詞「です」「ます」を付けることで、丁寧な言い方にすることができます。
明日は、月曜日 です 。
これから学校に行き ます 。
「です」「ます」は、尊敬語や謙譲語と重ねて使われることが多い語です。
社長が お見えになり まし た。
ごちそうを いただき まし た。
ご存じ です か。
文末を「です」「ます」で結ぶ文体(文章表現のスタイル)を敬体といいます。敬体に対して、文末を「だ」「である」などで結ぶ文体を常体といいます。
(2) 「ございます」を使う形
「ございます」は、「ある」の丁寧な言い方です。
「ございます」は、より丁寧な気持ちを表すときに使います。補助動詞として使われる場合もあります。
書類は、机の上に ございます 。
今日もお暑う ございます ね。
きれいなお花が飾って ございます 。(補助動詞)
これは見本で ございます 。(補助動詞)
(補助動詞についてくわしくは、「補助用言」のページを参照してください。)
「ございます」が形容詞に接続する場合には、形容詞の連用形がウ音便の形になることがあります。
・あたたかい → あたたこう ございます
・おいしい → おいしゅう ございます
・おもい → おもう ございます
「おる」「参る」「いたす」「申す」は謙譲語の動詞ですが、丁寧語として使われることがあります。
・雨が降り続いて おります 。
・まもなくバスが 参ります 。
・ホームを電車が 通過 いたします 。
・あの花は、スズランと 申します 。
(3) 接頭語「お」「ご」を付ける形
単語に接頭語の「お」や「ご」を付けると、ものごとの上品な言い方になります。
お昼 お天気 お寺 お弁当 お正月
お勉強(する) お掃除(する)
お暑い お安い ご祝儀 ご本
丁寧の接頭語の「お」「ご」は、どのような単語に付けてもよいわけではありません。
「お」「ご」を付けると不自然になる単語(「おジュース」「お鳥」など)もあるので、付けすぎないように注意しましょう。
「お」と「ご」の使い分けについては、「敬語の使い方」のページを参照してください。
丁寧語の形にするには、
① 丁寧の助動詞「です・ます」を付ける。
② 「ございます」を使う。
③ 接頭語「お・ご」を付ける。
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次の各文中の下線部の表現を[ ]内の指示にしたがって丁寧語に直しなさい。
(1) まもなくここにバスが来る。[丁寧の助動詞を使う。]
(2) 受付は、あちらにある。[丁寧語の動詞を使う。]
(3) ここが私たちの通う学校だ。[丁寧の助動詞を使う。]
(4) 私が課長の山田である。[丁寧語の動詞を使う。]
【考え方】
ふつうの言い方を丁寧語に言いかえるには、丁寧の助動詞「です」「ます」を使ったり、丁寧語の動詞「ございます」を使ったりします。
(1) 「来る」に丁寧の助動詞「ます」を付けると、「来ます」になります。
(2) 「ある」の丁寧な言い方として、丁寧語の動詞「ございます」があります。
(3) 断定の助動詞「だ」を丁寧な断定の助動詞「です」に言いかえます。すると、「学校だ」は「学校です」になります。
(4) 「山田である」の「ある」は、ここでは補助動詞です。「ございます」にも、補助動詞としての用法があります。
「山田である」を丁寧語の動詞を使って言いかえると、「山田でございます」になります。
【答】
(1) 来ます
(2) ございます
(3) 学校です
(4) 山田でございます
*
次の各文の下線部の敬語の種類を後から選び、記号で答えなさい。
(1) お荷物はここに置いてください。
(2) 今日は早く帰ってお勉強しよう。
(3) このケーキは、自分へのごほうびだ。
(4) あの方は、社長でいらっしゃる。
(5) この近くに交番がございます。
(6) 外は、雨が降っております。
(7) 私もそちらに参ります。
(8) 明日までにはご用意いたします。
(9) 先生は、もうご帰宅になりました。
ア 尊敬語
イ 謙譲語
ウ 丁寧語
【考え方】
(1) 「お荷物」は、その持ち主に対する敬意を表しているので、尊敬語です。
(2) 「お勉強し(する)」の接頭語「お」は、ここでは言葉を上品にするために付けられています。誰かに敬意を表すためではありません。したがって、丁寧語です。
(3) 「ごほうび」の「ご」は、言葉を上品にするために付けられているので、丁寧語です。
(4) 「いらっしゃる」は、尊敬語の特別な動詞です。ここでは、「いる」の尊敬語として使われています。
(5) 「ございます」は、「ある」の丁寧な言い方を表す動詞です。
(6) 「おる」は「いる」の謙譲語ですが、「おります」で丁寧語としての用法もあります。
「雨が降る」は自分や身内の動作ではないので、ここでの「おる」は謙譲語ではありません。
(7) 「参る」は、謙譲語の特別な動詞です。ここでは、「行く」の謙譲語として使われています。
(8) 「お(ご)~いたす」は、謙譲語を表す形です。「ご用意いたし(いたす)」で、「用意する」の謙譲語になります。
(9) 「お(ご)~になる」は、尊敬語を表す形です。「ご帰宅になり(になる)」で、「帰宅する」の尊敬語になります。
【答】
(1) ア
(2) ウ
(3) ウ
(4) ア
(5) ウ
(6) ウ
(7) イ
(8) イ
(9) ア