■ 連文節
連文節とは、連続した二つ以上の文節が一つにまとまって一つの文節と同じ働きをするものをいう。
(例) チンパンジーの 知能は 高い。
(例) あの人は 有名な 作家だ 。
連体修飾語、並立の関係や補助の関係にある文節は、つねに連文節になる。
(例) 電車と バスで 通います。
(例) 夕日が しずんで いく 。
■ 文の成分とは
文の成分とは、文を組み立てている部分(要素)をいう。もっとも大きな連文節と一致する。
(例) 僕は 水面をはねるイルカを 見た 。
■ 文の成分の種類
文の成分には、次のような種類がある。(1文節が「―語」、連文節が「―部」)
① 主語・主部……「なにが・だれが」を表す。
(例) 冷たい風が ふく。
② 述語・述部……「どうする・どんなだ・なんだ」を表す。
(例) 虫が 鳴いている 。
③ 修飾語・修飾部……「いつ・どこで・なにを・どのように」などと述語・述部をくわしく説明する。
(例) 彼は、とても速く 走れる。
④ 接続語・接続部……前後をつないでどのような関係かを表す。
(例) 天気がよかったので 、遊びに出かけた。
⑤ 独立語・独立部……文中で他の部分から独立している。
(例) ライバルに負けた 、それがくやしい。
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文の成分とはなにか、どのような種類があるかについて見ていきます。
その前提として連文節についても知っておきましょう。
文は、文節という単位に細かく区切ることができます。
そして、それぞれの文節は、主語・述語・修飾語などの働きをします。
しかし、一つの文にふくまれる文節の数が多くなると、二つ以上の文節が一つにまとまって主語・述語・修飾語などと同じ働きをすることがよくあります。
(文節の働きについては、「文節の働き(1)主語・述語」「文節の働き(2)修飾語」「文節の働き(3)接続語・独立語」のページを参照してください。)
次の例文を見てください。
チンパンジーの 知能は とても高い。(主部)
あの人は、有名な 作家だ 。(述部)
やらわかい ソファーの 上に 座った。(修飾部)
消しゴムが なかったので 、借りた。(接続部)
明け方の 空に 見える 星 、あれが金星です。(独立部)
これらの例文の下線部の語句はいずれも、二つ以上の文節が一つにまとまって一つの文節と同じ働きをしています。
たとえば、最初の例文では、「チンパンジーの」は「知能は」に係る文節ですが、これらの文節が一つにまとまって主語と同じ働きをしています。
このように、連続した二つ以上の文節が一つにまとまって一つの文節と同じ働きをするものを連文節といいます。
連文節がどのような働きをするかは、連文節の最後の文節の働きによって決まります。
*
体言を修飾する文節(連体修飾語)は、つねに修飾される文節(被修飾語)といっしょに連文節になります。
また、次の例文のように、並立の関係や補助の関係にある文節どうしも、つねに連文節になります。
(連体修飾語については「文節の働き(2)修飾語」を、並立の関係や補助の関係については、「文節どうしの関係」のページをそれぞれ参照してください。)
私は、電車と バスで 通います。(修飾部)
夕日が地平線に しずんで いく 。(述部)
連体修飾語、並立関係の文節、補助関係の文節は、つねに連文節になる。
文節を連文節にまとめるには、次のようにします。
(例)とても|美しい|花が|庭に|たくさん|咲いて|いる。
① 連体修飾語と被修飾語は、つねに連文節になる。
美しい―花が
② 連体修飾語に係る文節があるときは、まずそれらが連文節になる。
とても―美しい
③ 並立の関係や補助の関係にある文節どうしは、つねに連文節になる。
咲いて―いる
→ とても 美しい 花が 庭に たくさん 咲いて いる。
「庭に」と「たくさん」は、連続していても文節どうしの結びつきがないので、連文節にはなりません。
文は、いろいろな役割を持ついくつかの部分によって組み立てられています。
たとえば、「僕は、水面をはねるイルカを見た。」という文があるとします。
この文は、「だれ(なに)が」「なにを」「どうする」の三つの部分によって組み立てられています。
「だれが」を表すのが「僕は」の部分で、「どうする」を表すのが「見た」の部分です。
また、「水面をはねるイルカを」の部分が「なにが」を表しています。
【図】文の成分
それぞれの部分は、「だれ(なに)が」「なにを」「どうする」といった文中での役割に注目して区切られた意味のまとまりです。
このような、文を組み立てているそれぞれの部分(要素)を文の成分といいます。
*
もう一度、「僕は、水面をはねるイルカを見た。」という文を見ると、この文は、「僕は」「水面を」「はねる」「イルカを」「見た」という五つの文節からできていることがわかります。
これらのうち、「僕は」と「見た」は文の成分と一致しますが、「水面を」「はねる」「イルカを」は文の成分と一致しません。
また、「水面を」と「はねる」は、係り受けの関係にあって連文節「水面をはねる」になります。しかし、これも文の成分とは一致していません。
しかし、その「水面をはねる」が「イルカを」に係ってより大きい連文節「水面をはねるイルカを」になるときには、その連文節は文の成分と一致します。
【図】文の成分と連文節
このように、文節や連文節は、かならずしも文の成分と一致するとはかぎりません。
ただし、もっとも大きな連文節と文の成分とは一致します。
文の成分は、文節・連文節とまぎらわしいですが、文節・連文節とはちがう単位であることに注意してください。
文の成分は、文の組み立てを明らかにするために必要です。文をそれを直接的に組み立てている各成分に分解することは、文の意味を正しくとらえるのに役立ちます。
これに対して、文節は、単語(品詞)に分解したり、単語の文法上の性質をしらべたりするのに役立ちます。
文の成分の役割は、文節の働きとほとんど同じです。
ただし、文節とちがって、文の成分には連体修飾語や並立語、補助語にあたるものがありません。
文の成分には、次のように五つの種類があります。
なお、文の成分が1文節であるときは「―語」といい、二つ以上の文節(連文節)であるときは「―部」といいます。
文節が一つであるか複数であるかにかかわらず、文の成分をすべて「―部」と呼ぶこともあります。
(1) 主語・主部
主語・主部は、「なにが・だれが」にあたる部分です。
風が ふく。
冷たい風が ふく。
(2) 述語・述部
述語・述部は、「どうする」「どんなだ」「なんだ」にあたる部分です。
主語・主部に対して、その動作・状態・性質・内容などを表します。
虫が 鳴く 。
虫が 鳴いている 。
(3) 修飾語・修飾部
修飾語・修飾部は、「いつ(時間)・どこで(場所)・なにを(対象)・どのように(方法)」などを表して述語・述部をくわしく説明する部分です。
彼は、速く 走れる。
彼は、とても速く 走れる。
文の成分としての修飾語・修飾部は、つねに述語・述部を修飾します。
連体修飾語は、つねに文の成分の一部であって、それだけで文の成分としての修飾語・修飾部になることはありません。
(例)これは 有名な 絵です。
→「有名な絵です」で述部になる。
(4) 接続語・接続部
接続語・接続部は、前後をつないで、どのような関係であるかを表す部分です。
夕飯を食べて、それから 、国語を勉強しよう。
天気がよかったので 、遊びに出かけた。
(5) 独立語・独立部
独立語・独立部は、文中でほかの成分から独立している部分です。感動・呼びかけ・応答・提示などを表します。
こんにちは 、いい天気ですね。
ライバルに負けた 、それがくやしい。
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次の各文から連文節を抜き出しなさい。
(1) 雨が止むのを待ち続けた。
(2) かぜをひいたので、薬を飲んだ。
(3) 道路でハトがエサを探している。
(4) 姉は、焼きたてのパンを食べた。
【考え方】
まず文全体を文節に分けてから、文節どうしの係り受けを考えます。
なお、連文節の働きは、その連文節の最後の文節の働きによって決まります。
(1) 「雨が」は「止むのを」に係る文節で、「雨が止むのを」で連文節になります。
「雨が止むのを」は、述語の文節「待ち続けた」を修飾します。
(2) 「かぜを」は「ひいたので」に係る文節で、「かぜをひいたので」で連文節になります。
「ひいたので」は、接続助詞「ので」をふくんだ接続語です。
(3) 「探して」と「いる」の二つの文節は、補助の関係だから、連文節になります。
「探している」で一つの述語と同じになります。
(4) 「パンを」に「焼きたての」が係って、「焼きたてのパンを」で連文節になります。
「焼きたてのパンを」は、述語の文節「食べた」を修飾します。
【答】
(1) 雨が止むのを
(2) かぜをひいたので
(3) 探している
(4) 焼きたてのパンを
*
次の各文中の下線部について、その文の成分の種類を後から選び、記号で答えなさい。
(1) 一昨年この町で起きた事件をよく覚えている。
(2) 彼こそチームのリーダーにふさわしい。
(3) これは、僕が子供のころ見た映画だ。
(4) 洗剤がなくなったので、新しいのを買う。
ア 主語または主部
イ 述語または述部
ウ 修飾語または修飾部
エ 接続語または接続部
オ 独立語または独立部
【考え方】
文の成分の種類を知るには、その成分の最後の文節の働きを見ます。
(1) 下線部の最後の文節「事件を」は、「覚えている」を修飾する働きをしています。したがって、下線部は修飾部です。
(2) 「彼こそ」は、主語の文節で、「ふさわしい」に係っています。
(3) 下線部の最後の文節「映画だ」は、文全体の述語の働きをしています。したがって、下線部は述部です。
「僕が子供のころ見た」は、「映画だ」を連体修飾する連文節です。連体修飾する部分は独立して文の成分にならないことに注意してください。
(4) 下線部の最後の文節は、接続助詞「ので」をふくんでいます。したがって、下線部は接続部です。
【答】
(1) ウ
(2) ア
(3) イ
(4) エ
**
次の各文について、いくつの文の成分に分けられるかを数字で答えなさい。
(1) 大きな車が工事中の建物に入っていった。
(2) 新しい担任の先生は、やさしくて親切だ。
(3) 時間がなかったので、近くの駅まで急いで走った。
【考え方】
文を成分に分けるときは、①述語・述部、②主語・主部、③接続語(部)・独立語(部)、④修飾語・修飾部の順で、意味のまとまりを区切っていきます。
ふつう、述語・述部は文末にあって、主語・主部はそれよりも前にあるか、または、省略されています。
また、接続語(部)・独立語(部)は、たいてい文のはじめに来ます。
(1) 「入っていった」が述部、「大きな車が」が主部、「工事中の建物に」が修飾部になります。
述部が補助の関係にある連文節であることに注意してください。
(2) 「やさしくて親切だ」が述部、「新しい担任の先生は」が主部になります。
述部が並立の関係にある連文節であることに注意してください。
(3) 「走った」が述語、「時間がなかったので」が接続部、「近くの駅まで」と「急いで」がそれぞれ修飾部・修飾語になります。
【答】
(1) 3
(2) 2
(3) 4