■ 語幹と活用語尾
活用……単語の形が変化すること。
活用がある自立語(用言)の形の区分
・語幹……形が変わらない部分
・活用語尾……形が変わる部分
(例) 書く・書かナイ・書きマス・書けバ・…
〔語幹:「書」、活用語尾:赤字部分〕
動詞には語幹と活用語尾の区別がないものもある。
(例) 着る 得る 来る する …
■ 動詞の活用の種類
五段活用・上一段活用・下一段活用・カ行変格活用・サ行変格活用の5種類。
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単語のなかには、文中での用いられ方(切れるか続くか、どのような語が続くか)によってその形が変化するものがあります。
単語の形が変化することを活用といいます。
10種類ある品詞のうちで活用があるものは、動詞・形容詞・形容動詞・助動詞の四つです。
このうち動詞・形容詞・形容動詞は、自立語であり、まとめて用言とよばれます。➡単語の分類(3)品詞の分類
*
動詞「書く」の活用を見てみましょう。
書か ナイ
書こ ウ
書き マス
書い タ
書く 。(言い切る)
書く トキ
書け バ
書け 。(命令して言い切る)
上の例を見ると、一つの単語のなかに形が変化しない部分(太字)と形が変化する部分(赤字)とがあることがわかります。
一つの単語の形のうち活用によって形が変わらない部分を語幹といい、活用によって形が変わる部分を活用語尾といいます。
活用がある自立語(用言)は、一部の動詞をのぞいて、その形を語幹と活用語尾とに分けることができます。
活用がある付属語(助動詞)には、語幹と活用語尾の区別はありません。
活用=活用語尾の変化のしかたは、動詞・形容詞・形容動詞のそれぞれで違います。
形容詞と形容動詞の活用も見ておきましょう。
【形容詞「美しい」の活用】
美しかろ ウ
美しかっ タ
美しく ナル
美しい 。(言い切る)
美しい トキ
美しけれ バ
〔太字=語幹、赤字=活用語尾〕
【形容動詞「きれいだ」の活用】
きれいだろ ウ
きれいだっ タ
きれいで ナイ
きれいに ナル
きれいだ 。(言い切る)
きれいな トキ
きれいなら バ
〔太字=語幹、赤字=活用語尾〕
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次の語のように、動詞のなかには語幹と活用語尾の区別がないものもあります。
① 着る 見る 似る 煮る 居る 射る (上一段活用)
② 得る 出る 寝る 経る (下一段活用)
③ 来る (カ行変格活用)
④ する (サ行変格活用)
上の語はすべて、未然形と連用形が1字しかありません。「語幹がない」動詞ともいいます。
動詞とよばれる単語は数多くありますが、そのすべてが同じように活用するわけではありません。
動詞の活用のしかたは、次の表のように、全部で5種類あります。
【表】動詞の活用の種類
動詞の活用の種類 | 説明 |
---|---|
五段活用 | 五十音図のア・イ・ウ・エ・オの五段にわたって活用する。「読む」「買う」など。 |
上一段活用 | 五十音図のイ段だけで活用する。「見る」「起きる」など。 |
下一段活用 | 五十音図のエ段だけで活用する。「出る」「教える」など。 |
カ行変格活用 | 「来る」だけの特殊な活用。 |
サ行変格活用 | 「する」「―する(ずる)」だけの特殊な活用。 |
それぞれの活用の種類が具体的にどのような活用になるのかを、これから一つずつページを別にして解説していきます。
ここでは、動詞の五つの活用の種類の名前をしっかりと覚えましょう。
動詞の多くは、五段活用・上一段活用・下一段活用のいずれかの活用をします。
しかし、動詞のなかには、それらの種類のいずれにも当てはまらない特殊な活用をするものがあります。
そのような活用のしかたを変格活用とよび、カ行変格活用とサ行変格活用の2種類があります。
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次の各文の中から動詞をすべて探し出し、言い切りの形(終止形)に直して答えなさい。
(1) 駅まで話しながら歩こう。
(2) 道路の落ち葉を集めてゴミ袋に入れた。
(3) 何事も実行することが大事です。
【アドバイス】
動詞は、言い切りの形(終止形)がウ段音で終わる単語ですが、文中での用いられ方によってさまざまな形に変化します。
まずは文を文節に区分してみましょう。
(1) 駅まで|話しながら|歩こう。
(2) 道路の|落ち葉を|集めて|ゴミ袋に|入れた。
(3) 何事も|実行する|ことが|大事です。
それぞれの文節からウ段音で終わる形に変えられる部分を探してみましょう。動詞は自立語なので、文節の最初に来ます。
なお、(2)の「落ち葉」は、1語の名詞です(複合語)。➡複合語・派生語
(1) 話す 歩く
(2) 集める 入れる
(3) 実行する
*
次の単語を語幹と活用語尾とに分けなさい。
(1) 行く
(2) 重んじる
(3) 重んずる
(4) 暖かい
(5) 暖かだ
【アドバイス】
それぞれの単語の後ろに「ナイ」「マス・タ」「バ」などを付けて活用させてみましょう。形が変化しない部分が語幹で、形が変化する部分が活用語尾です。
「重んじる」は、「おもん(重ん)」までが語幹であり、「じ」から後ろの部分が活用語尾であると考えます。そうしないと、活用形(未然形・連用形)によっては活用語尾がなくなるからです。
(1) 語幹―い(行) 活用語尾―く
(2) 語幹―おもん(重ん) 活用語尾―じる
(3) 語幹―おもん(重ん) 活用語尾―ずる
(4) 語幹―あたたか(暖か) 活用語尾―い
(5) 語幹―あたたか(暖か) 活用語尾―だ