■ 五段活用
五段活用……活用語尾が五十音図の5段にわたって変化。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
ア オ |
イ | ウ | ウ | エ | エ |
(語例) 書く 注ぐ 話す 立つ
五段活用の未然形……「ない」が続くとア段の音に、「う」が続くとオ段の音になる。
(例) 書かナイ 書こウ
■ 動詞の音便
動詞の音便……五段活用の連用形に「た・て」などが続くとき、活用語尾が変化する。
動詞の音便には、イ音便・撥音便・促音便の3種類がある。
(例) 書いタ(テ)……イ音便
(例) 死んダ(デ)……撥音便
(例) 勝っタ(テ)……促音便
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五段活用とは、活用語尾が五十音図のア・イ・ウ・エ・オの五つの段にわたって変化するような動詞の活用のしかたをいいます。➡動詞(2)活用とその種類
たとえば、動詞の「書く」を活用させると、次のようになります。
書か ナイ (未然形)
書こ ウ (未然形)
書き マス (連用形)
書く 。 (終止形)
書く トキ (連体形)
書け バ (仮定形)
書け 。 (命令形)
〔太字=語幹、赤字=活用語尾〕
「書く」の未然形から命令形までの活用語尾を見ると、五十音図カ行の五つの音(か・き・く・け・こ)がすべて使われていることがわかります。
五段活用を表にしてまとめると、次のようになります。➡動詞(3)活用形とその用法
【表】五段活用
★スマートフォンの方は、横にスクロールさせてください。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
―ア ―オ |
―イ | ―ウ | ―ウ | ―エ | ―エ |
ナイ ウ |
マス | 言い切る | トキ | バ |
命令して 言い切る |
※ 「―ア」は、活用語尾がア段の音(か・が・さ・た・…)であることを表しています。ほかも同じです。
五段活用は、上の表の音を声に出すなどして覚えるとよいでしょう。
*
上の表を見てわかるように、五段活用の動詞には未然形が二つあります。
五段活用の未然形は、「ない」が続くときは活用語尾がア段の音になり、「う」が続くときはオ段の音になります。
また、次に説明しますが、連用形についても上の表の形のほかに、音便というもう一つの形があります。
「書く」という動詞の活用語尾は、「書か・書こ・書き・書く・書け」というようにカ行の5段にわたります。
そこで、「書く」をカ行五段活用の動詞とよぶことがあります。
ある動詞の活用の種類を示すときには、このように活用する行も付け加えることがあります。(上一段活用・下一段活用についても同じです。)
五段活用の動詞の連用形に「た」「て」などの語が続くとき、連用形の活用語尾が変化します。
たとえば、動詞「書く」の連用形は、次のように変化します。
書き マス……ふつうの連用形
書い タ ……タが続く連用形
書い テ ……テが続く連用形
〔赤字=活用語尾〕
活用語尾が変化するのは、発音しやすいように音が変化するためです。これを音便といいます
音便の形もまた、動詞の連用形の一つです。
なお、動詞の音便が生じるのは五段活用の連用形だけであって、他の活用の種類にはありません。
「貸す」「返す」などのサ行五段活用の動詞には音便がありません。
・貸しマス 貸しタ 貸しテ (「貸す」の連用形)
・返しマス 返しタ 返しテ (「返す」の連用形)
*
動詞の音便には、イ音便・撥音便・促音便の3種類があります。
そして、ある動詞の音便が3種類のうちのどれになるかは、その動詞の活用する行によって決まります。
次の表を参考にしてください。
【表】音便の種類
音便の種類 | 説明 |
イ音便 |
カ行・ガ行五段活用の動詞に「た」「て」などが続くとき、連用形の活用語尾が「い」になる。 (例)書きマス 書いタ 書いテ |
撥音便 |
ナ行・バ行・マ行五段活用の動詞に「た」「て」などが続くとき、連用形の活用語尾が「ん」になる。 (例)死にマス 死んダ 死んデ |
促音便 |
タ行・ラ行・ワ行五段活用の動詞に「た」「て」などが続くとき、連用形の活用語尾が「っ」になる。 (例)勝ちマス 勝っタ 勝っテ |
カ行五段活用の動詞はイ音便になるのが原則ですが、「行く」だけは促音便になります。
・行っタ 行っテ
五段活用動詞の活用表は、次のようになります。
【表】五段活用動詞の活用表
★スマートフォンの方は、横にスクロールさせてください。
行 | 基本形 | 語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
用法 |
ナイ ウ |
マス タ(ダ) |
言い切る | トキ | バ |
命令して 言い切る |
||
カ | 書 く | か(書) |
―か ―こ |
―き ―い |
―く | ―く | ―け | ―け |
ガ | 注 ぐ | そそ(注) |
―が ―ご |
―ぎ ―い |
―ぐ | ―ぐ | ―げ | ―げ |
サ | 話 す | はな(話) |
―さ ―そ |
―し | ―す | ―す | ―せ | ―せ |
タ | 立 つ | た(立) |
―た ―と |
―ち ―っ |
―つ | ―つ | ―て | ―て |
ナ | 死 ぬ | し(死) |
―な ―の |
―に ―ん |
―ぬ | ―ぬ | ―ね | ―ね |
バ | 学 ぶ | まな(学) |
―ば ―ぼ |
―び ―ん |
―ぶ | ―ぶ | ―べ | ―べ |
マ | 読 む | よ(読) |
―ま ―も |
―み ―ん |
―む | ―む | ―め | ―め |
ラ | 知 る | し(知) |
―ら ―ろ |
―り ―っ |
―る | ―る | ―れ | ―れ |
ワ | 買 う | か(買) |
―わ ―お |
―い ―っ |
―う | ―う | ―え | ―え |
※ 連用形の下段の太字は、音便の形です。なお、サ行五段活用の動詞には音便がありません。
ワ行五段活用の動詞(「買う」「思う」「歌う」「使う」など)は、未然形の活用語尾がワ行の音「わ」とア行の音「お」になっているので、ワア行五段活用の動詞とよぶこともあります。
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次の各文中の( )に、後の動詞を適当な活用形に直して入れなさい。
(1) 祖母の病気がなかなか( )ない。[治る]
(2) もっと大きな夢を( )う。[持つ]
(3) いろんな国の言葉を( )でみたい。[学ぶ]
(4) この道を( )ば、どこへ行き着くのか。[行く]
【アドバイス】
五段動詞の活用形を答える問題です。
動詞の活用形は、文中での用法、すなわち続く語や符号(句読点)によって決まります。カッコの直後に注目して、うまく当てはまる活用形を考えましょう。
(1)と(2) 「ない」も「う」も、動詞の未然形に付く助動詞です。ただし、「ない」はア段の音に、「う」はオ段の音に付きます。
(3) 「学ぶ」(バ行五段活用)の連用形に「て(で)」が続くときは、連用形が撥音便(―ん)になります。
(4) 「ば」は、活用語の仮定形に付く助詞です。
(1) 治ら
(2) 持と
(3) 学ん
(4) 行け
*
次の各動詞の音便の種類を後から選び、記号で答えなさい。
(1) 泣く
(2) 騒ぐ
(3) 待つ
(4) 死ぬ
(5) 運ぶ
(6) 飲む
(7) 切る
(8) 思う
ア イ音便
イ 撥音便
ウ 促音便
【アドバイス】
それぞれの動詞の連用形に「た(だ)」を付けて言いやすい形にしてみましょう。
活用語尾が「い」ならイ音便、「ん」なら撥音便、「っ」なら促音便です。
(1) 泣き+た → 泣いた(イ音便)
(2) 騒ぎ+た → 騒いだ(イ音便)
(3) 待ち+た → 待った(促音便)
(4) 死に+た → 死んだ(撥音便)
(5) 運び+た → 運んだ(撥音便)
(6) 飲み+た → 飲んだ(撥音便)
(7) 切り+た → 切った(促音便)
(8) 思い+た → 思った(促音便)
なお、(2)(4)(5)(6)のように、「た」がガ・ナ・バ・マ行五段活用の連用形に付くときは、濁って「だ」になります。
音便の形もまた、連用形の一つであることに注意しましょう。
(1) ア
(2) ア
(3) ウ
(4) イ
(5) イ
(6) イ
(7) ウ
(8) ウ