■ 形容動詞の性質
形容動詞……物事の性質・状態を表す単語。
形容動詞は、次のような性質をもつ。
① 自立語で、活用がある。
(例) きれいだ・きれいだろう・きれいでない・きれいならば・…
② 単独で述語になる。
(例) 朝焼けの空は、すてきだ。
③ 言い切りの形が「だ」で終わる。
(例) 静かだ 幸せだ 健やかだ 便利だ …
■ 形容動詞の働き
形容動詞は、文中で次のような働きをする。
① 述語になる。
(例) 月がきれいだ。
② 修飾語になる。
(例) 新鮮な野菜を食べる。
(例) 車が急に発進する。
③ 主語になる。(「のが・のは・のも」などが付く。)
(例) 新鮮なのがおいしい。
④ 接続語になる。
(例) 風がさわやかなので、気持ちがよい。
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形容動詞は、形容詞と同じように、物事の性質・状態を表す単語です。
彼は、正直だ。 (性質)
波が おだやかだ。 (状態)
*
形容動詞には、次のような性質があります。
(1) 自立語で、活用がある
形容動詞は、自立語です。すなわち、単独で文節をつくることができます。付属語があとに付いて一つの文節をつくるときもあります。➡単語の分類(1)自立語と付属語
また、形容動詞は、活用がある単語です。すなわち、文中でどのように用いられるかによって単語の形が変化します。
たとえば、「きれいだ」という形容動詞を活用させると、次のようになります。
きれいだろう。
きれいだった。
きれいでない。
きれいになる
きれいだ。
きれいなとき
きれいならば
形容動詞に分類される単語は、活用のしかたがすべて同じです。形容動詞の活用については、ページをあらためて説明します。➡形容動詞(2)活用
(2) 単独で述語になる
形容動詞は、ほかの語をともなわずにそれだけで(単独で)述語になることができる単語です。➡文節の働き(1)主語・述語
次の例文の下線部分は、それぞれ形容動詞1語からなる述語の文節です。
朝焼けの 空は、すてきだ 。
こちらは 静かで 、あちらは にぎやかだ 。
(3) 言い切りの形が「だ」で終わる
形容動詞は、言い切りの形(終止形)が「だ」で終わります。
静かだ 幸せだ 健やかだ なごやかだ 便利だ
言い切りの形(終止形)は、その単語の基本となる形(基本形)です。国語辞典に載っている単語の見出しは、この形です。
動詞・形容詞・形容動詞は、言い切りの形(終止形)で見分けます。
言い切りの形の最後が、動詞はウ段音(う・く・す・…)、形容詞は「い」、形容動詞は「だ」になります。➡単語の分類(3)品詞の分類
形容動詞は単独で述語になることができる単語ですが、形容動詞の働きはそれだけにかぎられません。
形容動詞の働きは、形容詞と同じです。一つずつ見ていきましょう。
(1) 述語になる
上で説明したように、形容動詞には、述語、すなわち、「どんなだ」に当たる文節をつくる働きがあります。➡文節の働き(1)主語・述語
この場合、形容動詞は単独であるか、または、付属語(助動詞・助詞)をともないます。
月が きれいだ 。(形容動詞が単独である場合)
月が きれいだった 。(付属語をともなう場合)
(2) 修飾語になる
形容動詞は、修飾語(連体修飾語と連用修飾語)になることができます。➡文節の働き(2)修飾語
この場合、形容動詞は単独であるか、または、付属語をともないます。
新鮮な 野菜を 食べる。(連体修飾語)
新鮮だった 野菜が くさる。(連体修飾語)
車が 急に 発進する。(連用修飾語)
車は、急には 止まれない。(連用修飾語)
動詞と違って、形容動詞や形容詞は単独で連用修飾語になることができます。(動詞は、単独で連用修飾語になることができません。)
(3) 主語になる
形容動詞は、主語になることもできます。➡文節の働き(1)主語・述語
この場合、主語の文節は、形容動詞(連体形)に「のが」「のは」「のも」などが付く形になります。
新鮮なのが 一番おいしい。
私が 好きなのは、イチゴです。
(4) 接続語になる
形容動詞は、助詞(接続助詞)をともなって接続語をつくることもできます。➡文節の働き(3)接続語・独立語
風が さわやかなので 、気持ちがよい。
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次の語句の中から形容動詞をすべて選び、番号で答えなさい。
①暖かい ②暖かだ ③細かい
④細かだ ⑤変だ ⑥ショックだ
⑦合理的だ ⑧飛んだ ⑨先生だ
【アドバイス】
一つひとつの語句について、形容動詞の特色に当てはまるかどうかをしらべましょう。
形容動詞は、性質・状態(どんなだ)を表す単語で、言い切りの形が「だ」で終わります。
形容動詞のなかには、「ショックだ」のように外来語を語幹とするものや、「合理的だ」のように「―的」を語幹とするものもあります。
「飛んだ」は動作(どうする)を表し、「先生だ」は人・物事(なんだ)を表しています。したがって、これらの語句は形容動詞ではありません。
②、④、⑤、⑥、⑦
*
次の各文中の下線を引いた文節の働きを後から選び、記号で答えなさい。
(1) 店内が きれいなのは 、毎日掃除しているからです。
(2) その名所には、観光客が 頻繁に 訪れる。
(3) もし君が 暇ならば 、仕事を手伝ってくれないか。
(4) その物語は、ラストシーンが 感動的だった 。
ア 述語
イ 修飾語
ウ 主語
エ 接続語
【アドバイス】
形容動詞(をふくむ文節)には、動詞・形容詞と同じように、四つの働きがあります。
(1)のように、形容動詞に「のが」「のは」「のも」が付いた文節は主語になります。
(2)のように、形容動詞が単独で文節をつくるときは、述語または修飾語になります。
形容動詞や形容詞は、動詞と違って、単独でも連用修飾語になることができます(副詞法)。
(3)のように、形容動詞に「ば」「ので」などの助詞(接続助詞)が付いた文節は接続語になります。
(4)のように、形容動詞が述語になるときは、付属語をともなうことがあります。
(1) ウ
(2) イ
(3) エ
(4) ア