■ 補助動詞
補助動詞(形式動詞)……直前の文節に意味を添える動詞。連文節をつくる。
(例) 花を育ててみる。(「育ててみる」で連文節)
補助動詞は、「―て・―で」の形の文節に付く。
(例) 走っている。 飛んでゆく。
■ 補助形容詞
補助形容詞(形式形容詞)……直前の文節に意味を添える形容詞。連文節をつくる。
(例) 暑くない。 食べてほしい。
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補助動詞とは、その動詞の本来の意味が薄れて、直前の文節に意味を添える働きをする動詞をいいます。形式動詞ともいいます。
花を 育てて みる。(見る)
窓を 開けて おく。(置く)
上の例で、「みる」「おく」は、それぞれ本来の意味ではなく、直前の文節の意味を補う働きをしています。つまり、補助動詞として使われています。
補助動詞は(補助形容詞も)、本来の意味が失われているので、ひらがなで表記するのがふつうです。
補助動詞は、付属語の助動詞と働きが似ていますが、自立語であって単独で一つの文節になります。そして、直前の文節と連文節をつくります。➡単語の分類(1)自立語と付属語 ➡連文節と文の成分
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補助動詞の直前の文節は、次のように「―て」「―で」の形になります。
これは、花で ある。
車が 走って いる。
鳥が 飛んで ゆく。
補助動詞は、直前に「―て」「―で」の文節がくる。
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補助動詞となる単語には、次のようなものがあります。
ある いる おく くる くれる
しまう みせる みる もらう
やる ゆく(いく)
敬語として使われる動詞にも、補助動詞になるものがあります。
・食べて いらっしゃる
・読んで いただく
ほかに、「くださる」「ございます」「あげる」「さしあげる」などの動詞が補助動詞になります。
補助形容詞とは、本来の意味が薄れて、直前の文節に意味を添える働きをする形容詞をいいます。形式形容詞ともいいます。
あまり 暑く ない。
料理を 食べて ほしい。
上の例で、「ない」「ほしい」は、それぞれ本来の意味ではなく、直前の文節の意味を補う働きをしています。つまり、補助形容詞として使われています。
補助形容詞は、付属語の助動詞と働きが似ていますが、自立語であって単独で一つの文節になります。そして、直前の文節と連文節をつくります。➡単語の文節(1)自立語と付属語 ➡連文節と文の成分
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補助動詞と補助形容詞の二つをあわせて補助用言または形式用言といいます。
補助用言は、自立語として一つの文節をつくり、直前の文節の意味を補助する働きをします。
補助用言の文節を補助語といい、補助語とその直前の文節との関係を補助の関係といいます。➡文節どうしの関係
補助の関係にある文節は、かならず連文節をつくって一つの文の成分となります。
【図】補助の関係
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次の各文中から補助動詞を抜き出しなさい。
(1) 人は、考える葦である。
(2) 先生に作文の添削をしてもらう。
(3) 遊びに熱中して宿題を忘れてしまう癖がある。
(4) 過ぎてゆく春を惜しむ。
【アドバイス】
補助動詞は、直前に「―て」か「―で」の形の文節が来ます。
「―て」「―で」の形の文節を見つけて、その直後の動詞が補助動詞かどうかをしらべます。
補助動詞とされる動詞は、決まっているので、見てわかるようにしておくとよいでしょう。
(1) ある
(2) もらう
(3) しまう
(4) ゆく
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次の各組の中から下線部が補助形容詞である文を選び、記号で答えなさい。
(1) 「ない」
ア 何も食べ物がない。
イ 何も食べたくない。
(2) 「ほしい」
ア 勉強を教えてほしい。
イ 勉強する時間がほしい。
(3) 「よい(いい)」
ア 好きなだけ食べてよい(いい)。
イ この料理は、味がとてもよい(いい)。
【アドバイス】
補助形容詞は、直前の文節の意味を補助する働きをします。
(1) 「ない」の本来の意味は、「存在しない・持っていない」です。補助形容詞として使われる場合は、「~でない(打消し)」という意味になります。
(2) 「ほしい」の本来の意味は、「自分のものにしたい」です。補助形容詞として使われる場合は、「~してもらいたい」という意味になります。
(3) 「よい(いい)」の本来の意味は、「好ましい」です。補助形容詞として使われる場合は、「~してもかまわない・~する必要がない」という意味になります。
(1) イ
(2) ア
(3) ア